北見工業大学が位置する北海道オホーツク地方は、かつては世界生産量の7割を占めるハッカの主産地でした。ハッカの生産量は減少していますが、現在でもタマネギやホタテなど農林水産業が盛んな第一次産業地帯です。工業地帯から遠く、世界自然遺産の知床に隣接した自然豊かな地で実践する工学について、皆さん、どんなイメージが湧くでしょうか。
農林水産業を基幹とする地域産業への工学的支援を目指し、北見工業大学では、オホーツク農林水産工学連携研究推進センターを設置しています。「農林水産業」と「工学」が結びつかない人もいると思いますが、現在、漁船は各種の高性能センサーを搭載し、トラクターは自動運転の時代、これらはまさに最新テクノロジーの塊です。生産管理などにICTを活用することは、もはや珍しくありません。少子高齢化による人手不足の時代において、「農林水産業」を支えるカギは、「工学」です。しかし、一つの工学分野だけでは実際の課題を解決できない場合があります。例えば、畑の場所ごとに足りない肥料成分だけをまく可変量施肥装置を開発する場合、化学分析の知識も機械工学の知識も必要になります。そこで、オホーツク農林水産工学連携研究推進センターでは、様々な専門の先生方が協働して分野融合型の研究を実施し、地域の実際の課題解決に挑んでいます。
これからを担う皆さんに伝えたいことは、農業従事者とコミュニケーションをとって的確にニーズを拾い上げるエンジニアや機械工学の専門家と一緒に研究できる化学者など、他者と協働できる専門家、「共創力」を持つ人が、今後どんどん必要とされるということです。夢中になれる専門分野を見つけ、他の分野の人ときちんと話ができる幅広い知識を身に付けたエンジニアを目指してほしいと思います。
北見工業大学には、この他にもカーリングやスキーを工学的な見地から研究する冬季スポーツ科学研究推進センターなどが設置されています。このように、北の大地ならではの課題に取り組んでいますが、ここで実践する地域課題の発掘から解決までのプロセスや、工学を専門としない地域の方々との共創は、卒業後に活躍する地域によらず、これからのエンジニアにとって大切な糧になるはずです。
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